王祇祭・黒川能
2月1日・2日は鶴岡市黒川地区にある『春日神社』の王祇祭です。
春日神社の「神事能」である『黒川能』は500年以上の歴史を持ち、昭和51年に国の重要無形民族文化財にも指定されています。
王祇祭では氏子達が上座と下座にわかれて、それぞれの「当屋」において夜通しで能と狂言の奉納が行われます。
私も今回、下座での奉納を見学させていただきました。
観能の前に春日神社にお参りしてから、神社のすぐ向かいにある『王祇会館』を見学しました。
王祇会館では、黒川能で実際に用いられる装束や能面などの展示のほか、祭りや能にかかわる人々の様子を記録した映像も公開されています。
映像には、民俗学の大家・宮本常一氏の監修による40年以上昔のものもあり、当時の様子がとてもよく伝わってきます。
また、黒川能にちなんだグッズや関連書籍などを販売しているショップもあり興味を引きました。
その後、今回お世話になる下座当屋を務められる清和治四郎氏のお宅に伺ってご挨拶と奉納をおこなって、ご接待を頂戴しました。
こちらでは事前の「豆腐焼き」「豆腐煮」行事でつくられた豆腐とゴボウに「二番」という熱い汁をはっていただくのが恒例です。
ちなみに『一番』はお椀でいただく熱燗です。
そしていよいよ黒川能が奉納される会場へ。
今年は公民館が会場です。
当屋の自宅で行うよりはかなり広めの会場ですが、午後6時の開演時にはおよそ200名の観客でびっしりとなっていました。
最初は『大地踏み』。
女装した4歳の男児が衣を広げられた王祇様(ご神体)の前で元気に演じました。
続いて『式三番』。
上野由部太夫の『翁』、清和政俊氏の 『三番叟』を観ると、「今度もまた黒川能に来たなあ」と感じます。
引き続き、脇能の『高砂』。
去年よりも木守の老人夫婦がぐっと若くなっていました。
その後「中入り」となり、舞台は宴会場に早替わりです。
観客にも豆腐と酒が振舞われていました。
再び舞台が整えられると、ここからは夜通しで狂言4番と能4番が演じられます。
演目は・・・
・三本柱(狂言) 範頼(能)
・瓜盗人(狂言) 杜若(能)
・茶壷(狂言) 鐘巻(能)
・こんかい(狂言) 嵐山(能)
中でも圧巻だったのは、上野太夫がシテを務められた『鐘巻』です。
白拍子に身を変えた怨霊が乱拍子を舞いながら鐘の中に入る場面では、満場の観客が皆、意気を飲んで見守っていました。この能を目的にされていた方も多かったようで、深夜3時頃にもかかわらずこのときが一番の混雑振りでした。
また、個人的には、80年ぶりの上演とも聞く『範頼』が印象的でした。
悲運を予兆するようなシテ(範頼)の憂いと悲愴感が終始伝わってきて、終始、緊張感を持って観ていました。
今年も、王祇祭・黒川能を堪能させていただきました。
関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
HARUKOさん
先日は多聞館にご宿泊いただきましてありがとうございました。
この冬一番冷え込んだ日のお泊りでしたが、寒さも積雪も苦にされず、雪の五重塔をお楽しみいただけたご様子で、大変嬉しく存じます。
地元のものにとってはあまりありがたくない大雪ですが、見る方によっては楽しみにもなるのですね。
今回は春日神社での黒川能をご覧になられたとのことでしたが、来年はぜひ、念願の当屋での黒川能見学がかないますように・・・。
もうひとつのホームページのブログ(http://
www.tamonkan.com)では去年と一昨年の王祇祭と祈念祭の様子をお伝えしていますのでよかったらご覧ください。
HARUKOさんのホームページも少しですが拝見しました。
幅広くご活躍のご様子に驚きました。
これからもお元気でご活躍ください。
ご投稿を頂きありがとうございました。
投稿: 多聞館 土岐 | 2010年2月 5日 (金) 10:00
2日に泊めていただいたHARUKOです。たったひとりのために、大きな風呂を沸かして、部屋も暖かくして迎えてくださいました。大感激です。
夕食と朝食に出たゴマ豆腐はほんとに美味しかった。高野山の宿坊で出されたのとは雲泥の差。お母様によろしくお伝えください。
土岐さんにとっては見慣れた風景かもしれませんが、私は3日の大雪に大感激。雪に埋もれた五重塔を見たかったので、目的達成です。
それから夜通しの黒川能がどんなものか分かりませんでしたが、このブログでかなりのことが分かりました。写真もお上手ですね。何気なく撮っているのだとしたら、たいしたものです。少し勉強しているのではありませんか?
来年は是非、下座か上座を見学したいものです。
私も8年前からHPを開設しています。見てくださいね。もっとも今回の旅がウェブに載ることはないかもしれません。他の作業でいっぱいなのです。掲示板には少し写真を出していますが。
投稿: HARUKO | 2010年2月 5日 (金) 00:02