王祇祭 黒川能 ’11
今日は久しぶりの晴天となりました。
月山も姿を見せていました。
そんな中、黒川地区の春日神社で行われた王祇祭・黒川能を見学してきました。
「王祇祭」は春日神社の例祭ですが、そこで奉納される「黒川能」は五百年以上の歴史があるとされ、国の重要無形民族文化財に指定されています。
昨日は、上座と下座のそれぞれの当屋において、夜通しで能と狂言が上演されました。
その後、ご神体の「王祇様」を神社に戻す「宮のぼり」「朝尋常」を経て、神社での演能となりました。
舞台の周囲には、上座・下座それぞれの長老の方々がぐるっと座を占めています。
この方々は「長人衆(おとなじゅう」と呼ばれ、今後の当屋を務めていくと認められた方々だそうです。
長人衆の方々はそれぞれに重箱やお酒を広げ、和気藹々と談笑しながら能を観ていらっしゃいました。
演能の最中には、訪れた地元の方に「おめもこごさ座るよなったが(あなたもこの場に座るようなお年になられましたか)」などと声をかけられているのも聞こえてきました。
神前の正面には、ご神体の王祇様と今年の当屋頭人を務められているおふたりがひかえておられます。
都合で演能のすべては観られませんでしたが、久しぶりの笛・鼓・太鼓の音色に心騒ぎ、円熟の能に目を見張り、初々しい舞には笑顔がこぼれる・・・いい時間を過ごすことができました。
今日の演能には小さな子供の役者も多く出ていました。
彼らの初々しい演技を観ながらふと感じたのは、幼い役者を見守る関係者皆さんの温かくも厳しいまなざしでした。
きちんとやり通すようにと見守る温かいまなざしの中にも、同じく黒川能を継承していく「仲間」として甘えを許さない、そんな厳しさを感じました。
年長者を先輩として大切にもてなしながら、子供達を「仲間」として温かくも厳しくはぐくむ。
黒川能の中には、コミュニティがうまく機能していくための有効なシステムが組み込まれているのだなあ、と実感した今年の王祇祭でした。
関係者の皆様、ありがとうございました。
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